鹿児島市を拠点に活動するPandAというNPO法人が、「ダンボールハウス」を使ったワークショップを開催している。

 PandAが開発したダンボールハウスはキットになっており、小さな子でも楽しく組み立てることができる。数パターンのキットの中から好きなものを選び、誰かと一緒に作っていく過程で、関係性の深まりや個性・創造性を引き出すことがこのワークショップのねらいだ。簡単なキットになってはいるが、そこに葉っぱや木の実、枝、綿や布、毛糸など様々なものを飾り付けていくことで、唯一無二のオリジナルのダンボールハウスができあがる。ミッションは、「ハウス作りを通じて親子の関係や子どもの持つ可能性を発見するお手伝い」。実際にワークショップに参加した人からは、「ふだんは気づかない子どもの興味を知ることができた」「どんな家にするかに、それぞれ作る人の理想や生活に何を求めているかが見えた」といった声が寄せられているそうだ。 

▼ダンボールハウスのワークショップの様子(鹿児島市 マルヤガーデンズにて) 

鹿児島市 マルヤガーデンズで開催されたワークショップ

 2009年に誕生して以来、そのミッションの通り、主に親子で参加するワークショップが開催されてきた。「子どもに自然との関わり方を気づいて欲しい」「自然から今後の人生に重要な多くのモノ、コトを受け取ってほしい」と、屋外での開催を目的で開発されたワークショップだったが、その評判は少しずつ市内、県内に広がっていき、市街地の百貨店や郊外のショッピングセンターなどの商業施設からも開催の声がかかるようになる。現在は屋内外の様々な「場」でダンボールハウスのワークショップが開催されている。また鹿児島だけでなく、熊本や福岡の商業施設の他、北関東全域の様々な地域にまで広がっている。

 

▼個性あふれるダンボールハウス

 子どもたちの作ったダンボールハウス① 子どもたちの作ったダンボールハウス②

 子どもたちの作ったダンボールハウス③ ダンボールハウス
 「どんな「場」でやっても関係性の変化が起こるんです」と代表の早川さんは言う。これまでは親子のワークショップが中心だったが、今後は学校や病院、老人介護施設などにも広げていく事で色々な関係性に挑戦をするつもりだ。実際に今年の2月には病院のリハビリセンターでのデモンストレーションが行われている。

 ダンボールハウスのワークショップはひとつの「場づくり」のあり方である。しかしそれは、あるひとつの拠点で場づくりをし、魅力を高めていくのではなく、ワークショップが様々な「場」で行われることで、その「場」やその場に集まった人たちがもつ本来の特徴やポテンシャルによって様々な関係性が導かれる「場づくり」だ。非常に柔軟で、かつ大きな可能性を秘めている。今後学校や病院、老人介護施設などで開催されるようになったときに、どんなコトが起こるのか、どんな関係性の変化がみられるのか、とても楽しみだ。

ダンボールハウス HP

PandA HP

 (黒木)