地元の人や観光客が集まる「場」としてのミュージアムを中心に、ミュージアムと地域の魅力を有機的につなげることができれば、より広がりをもった豊かな体験を来館者に提供することができるのではないだろうか。情報技術を活用し、「場」を拠点として周辺エリアの地域資源を楽しく回遊することができる「地域情報プラットフォーム」を提案している。

 もりおか歴史文化館は、城下町盛岡の歴史や文化を紹介し、まちなか観光を推進する拠点施設として2011年にオープンした。盛岡は、城下町の歴史的景観やまちなみ・史跡、伝統工芸のお店など魅力的な地域資源が数多く点在するまちである。館では、ミュージアムとこれらの地域資源(=フィールドミュージアム)とをつなぐツールが必要と考え、まちあるきスマートフォンアプリ「マチレコトラベル」の実証実験を行っている。館を学びの拠点として、フィールドミュージアムへの回遊性を高め、まちの活性化にもつなげる狙いだ。

地域連携04_もりおか歴史文化館_1

 マチレコトラベルのコンテンツやサービスは、盛岡のまちの人とのワークショップを通じて開発されたもので、ワークショップでは、まちの魅力を改めて見直し、まちを楽しく体験してもらうためのアイディアが検討された。ミュージアムの展示内容に関連した周辺史跡を巡ったり、伝統工芸品のお店に行って話を聞いたりと、地域全体をミュージアムとしてとらえ、体験し、理解を深めることができる。

マチレコアプリ

 来館者に新たな気づきや発見を提供し、行動のきっかけを与え、地域についての楽しさを伝え、興味を深めさせる。この地域情報プラットフォームは、「場」と地域、地域資源と人、人と人とを結ぶハブとして、今後も、確実に重要な役割を果たすといえる。

水野 歌子