場づくりマーケティング・コンソーシアム

タグ: ミュージアム

『地域を変えるミュージアム』発売から、数か月たちました。

お手に取ってくださった方、読んでくださった方、本当にありがとうございます。
感想やご意見等、どしどし受付中です。
あなたのまちの『地域を変えるミュージアム』、ぜひ、教えてください。


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先日、国立市の公民館にて、『地域を変えるミュージアム』をテーマにした読書の集いにお呼ばれしました。代表玉村をはじめ研究員による、全国のミュージアムの事例紹介や地域を変えているポイントを解説いたしました。 

参加された皆様と、「自分のまちにもこうしたミュージアムをつくりたい。そのためにはどうしたらいいか」という質問や「こうしたミュージアムが身近にあればいいのに」という感想など、たくさんの意見交換を行いながら、ミュージアムを通じた人と人の関係づくりに、自分事のように興味を持って頂けたこと、嬉しく感じました。

今後も、『地域を変えるミュージアム』の紹介や、ミュージアムなど地域の魅力を集める場づくりの相談、ワークショップに、いろいろなまちを訪れます。

質問やご意見、ご要望など、お気軽にどうぞ。↓
ba-staff◎sfc.keio.ac.jp
(「◎」を「@」に置き換えてください。)

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4月12日(金)渋谷ヒカリエ8階 8/ にて、ヒカリエ1周年記念『出張!ソーシャル書店』の企画の第一弾で、『地域を変えるミュージアム-未来を育む場のデザイン』出版記念イベントを行いました。当日は、本書の出版に至った背景や取り上げている事例を一部紹介し、本書の魅力をコンパクトにお伝えしました。

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「ミュージアムは社会を変える力を持っている」と力強く語る、本書編著者の玉村雅敏先生。

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三鷹市星と森と絵本の家をはじめ、事例を一部紹介しました。

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取材を行ったミュージアムの方々も駆けつけ、ミュージアムの魅力を熱く語ってくださいました。

最後に、「本書の事例は、ミュージアムに限らず、地域振興や観光、教育、顧客サービスなど、いろいろな場面で参考になります。この本をきっかけに、社会課題を解決する「場づくり」にぜひ取り組んでほしい。」と、玉村先生。

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ぜひ、お手に取って、ご覧ください。

 

 場づくりマーケティング・コンソーシアムでは、2013年4月9日(火)、地域コミュニティの変化の起爆剤となるミュージアムを紹介する書籍『地域を変えるミュージアム――未来を育む場のデザイン』を、英治出版株式会社(東京都渋谷区)より、出版いたします。
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〇ポイント1 ミュージアムという場が生み出す力が、人も社会も変えていく。
人と人がつながる場、新たなアイデアが創発する場、ものごとの価値や魅力を見つめ直す場。そんな場となり、地域社会にプラスの変化をもたらしているミュージアムがあります。慶應義塾大学SFC研究所「場づくりマーケティング・コンソーシアム」が全国各地のミュージアムを調査し、先導事例としての30事例を豊富なカラー写真とともに解説します。
〇ポイント2  都市再生・地域活性化のカギ、「場づくり」のヒントを満載。
活力ある創造的なコミュニティの形成は、都心部でも地方でもこれからのまちづくりの重要課題。実践事例を多数紹介した本書は、行政・都市計画・まちづくり・観光ビジネス・ミュージアムなどに示唆に満ちています。

詳細は、以下、ご参考ください。

また、4月12日(金)、出版記念イベントを実施します。渋谷ヒカリエの開業1周年記念イベント「出張!ソーシャル書店」の中で、人や社会を変えている、ミュージアムと「場づくり」についてのトークセッションを行う予定でおります。
■日時:4月12日(金)19:00~20:00
■会場:渋谷ヒカリエ8階「クリエイティブスペース8/(ハチ)」
■登壇者:玉村雅敏(編著者、慶應義塾大学総合政策学部准教授)

※ 参加無料。事前登録なし。

ふるってご参加ください。

 
 

東京都世田谷区にある東京農業大学、世田谷通りをはさんだ向かいのけやき並木の通り沿いに「食と農」の博物館がある。東京農業大学の研究と教育の成果を発信し、「食と農」に触れ合う場を展示やイベントを通じて提供する、大学の情報交流拠点になっている。
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けやき並木を眺めることができるカフェ「プチラディッシュ」では、季節の野菜などを加えた料理や、卒業生がペルーで生産指導している「カムカムドリンク」などを提供。近所のママさんグループやご年配の友人同士がランチをしたり、お茶を飲んで楽しむ。その隣には、commercial spaceと題して、企業や協力団体の商品が紹介されている。多くある大学の奥まった博物館というイメージとはかけ離れた、明るくゆったりとしたスペースは、世田谷のまちに溶け込んだ居心地の良い空間としてふらりと立ち寄れるスポットになっている。
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館内をぐるりと歩けば企画展示を見ることが出来る。「古農具展」では、職人の手によって作られた古農具が、今の農大生から見た農具の美しさを表現した絵とともに飾られており、機能性だけでなく、見た目も美しさがあることを気づかせてくれる。
二階に行くと、ここの名物とも言うべき「醸造」の展示がある。壁一弁にずらりとならんだ、卒業生の酒造の一升瓶は圧巻だ。現在、全国にある1,600近くの日本酒の蔵元のうち、およそ8割はなんと東京農業大学の卒業生だという。「日本の酒器」コーナーには、珍しい徳利や杯などが並んでおり、戦時中の杯、海外に輸出されていた徳利、鶴の卵で出来た杯など、時代が生んだ酒の文化を見ることができる。 
その他にも115体の鶏の剥製展示がある。入口の大きな鶏の像、そして古農具展に置かれていた鶏などから連想が膨らみ、自然と関心も強くなる。展示はその生態、歴史文化、食など、1階で身近に触れたものから、ぐっと深くなって、農業の世界に触れることが出来る。
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博物館の南側に繋がるのは展示温室「バイオリウム」。「生き物」(バイオ=BIO)と「空間」(リウム=RIUM)、つまり「生き物の空間」だ。運営するのは東京農業大学から独立した進化生物学研究所。マダガスタルをはじめとして、進化生物学研究所が亜熱帯地方で調査し収集した研究材料であるの珍しい動植物を、本物に近いジャングルを味わえる温室のなかで観ることが出来る。夕方などは、学校帰りの小学生たちが遊びに来る。バナナを見に来たり、ワオレムールに会いに来たり、ケヅメリクガメに話しかけに来たり、イグアナを探しに来たり。ケヅメリクガメは週末などは、研究員とともに、ケヤキ通りを散歩する。散歩する人気者のケヅメリクガメは、研究所と地域を結ぶ斡旋人だ。
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毎週火曜と木曜には、研究員がツアーを行っている。「木ってそもそも何で出来ていると思います?」「日陰じゃないと生きられなくて、水がないと死んでしまう月下美人も、実はサボテンなんです」「トゲってなんであるんでしょうね?」、日常に溢れる植物にまつわる数々の疑問や、亜熱帯の植物に見られる想像もつかない現象が、研究員から直接、次々と聞ける。それも担当する研究員によって内容が違い、お客さんによって変えることもあるというから、何度訪れても探究心を掻き立てられる。
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博物館と反対側、馬事公苑に向かう出入り口は、バイオリウムショップが併設されている。ウーパールーパーやグッピー、古代魚、それからサボテンや珍しいバオバブの木などが売られている。また卒業生が作ったお味噌やジャム、新鮮な野菜が販売されている。「生き物相談室」は、誰もが生き物のことを聞くことが出来る研究所との窓口だ。専門家集団が答えてくれて、しかも敷居が低いという、心強さが人気の秘訣で、魚を飼っているお客さんや、植物好きのお客さんが、頻繁に訪れてはスタッフに質問する。
「食と農」の博物館の出入り口で誰もがふらりと入れるカフェと同じように、バイオリウムの出入り口もまた誰もが垣根なく入ることができる空間であり、実際の生き物に接する魅力を通じて、研究者と地域の人たちがつながる場になっている。
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東京農業大学は日本初の私立の農学校。創立以来、「実学主義」を理念に掲げる。「収穫祭」と呼ばれる学園祭は、学生たちの手による食の屋台が並び、野菜の無料配布なども実施され、地域のひとで賑わう。博物館の酒造のコーナーやショップの販売物など様々なところにもOBの協力があり、学生たちの一体的な協力活動は卒業しても変わらない。
そういった実学主義の理念や一体的な協力活動が、新たな「食と農」の博物館・「バイオリウム」にも貫かれている。バイオリウムは独立した研究組織であるが、企画からイベント、そして日常のやりとりまで、「食と農」の博物館と一体的に活動を展開する。それがより市民と研究機関をつなぐ場として相乗効果をもたらしている。
「食と農」の博物館そして「バイオリウム」は、創立以来の大学の理念を引き継ぎながら、研究と生活者を結ぶ新たな拠点として地域に溶け込んでいる。

「食と農」の博物館
http://www.nodai.ac.jp/syokutonou/

田中


 地元の人や観光客が集まる「場」としてのミュージアムを中心に、ミュージアムと地域の魅力を有機的につなげることができれば、より広がりをもった豊かな体験を来館者に提供することができるのではないだろうか。情報技術を活用し、「場」を拠点として周辺エリアの地域資源を楽しく回遊することができる「地域情報プラットフォーム」を提案している。

 もりおか歴史文化館は、城下町盛岡の歴史や文化を紹介し、まちなか観光を推進する拠点施設として2011年にオープンした。盛岡は、城下町の歴史的景観やまちなみ・史跡、伝統工芸のお店など魅力的な地域資源が数多く点在するまちである。館では、ミュージアムとこれらの地域資源(=フィールドミュージアム)とをつなぐツールが必要と考え、まちあるきスマートフォンアプリ「マチレコトラベル」の実証実験を行っている。館を学びの拠点として、フィールドミュージアムへの回遊性を高め、まちの活性化にもつなげる狙いだ。

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 マチレコトラベルのコンテンツやサービスは、盛岡のまちの人とのワークショップを通じて開発されたもので、ワークショップでは、まちの魅力を改めて見直し、まちを楽しく体験してもらうためのアイディアが検討された。ミュージアムの展示内容に関連した周辺史跡を巡ったり、伝統工芸品のお店に行って話を聞いたりと、地域全体をミュージアムとしてとらえ、体験し、理解を深めることができる。

マチレコアプリ

 来館者に新たな気づきや発見を提供し、行動のきっかけを与え、地域についての楽しさを伝え、興味を深めさせる。この地域情報プラットフォームは、「場」と地域、地域資源と人、人と人とを結ぶハブとして、今後も、確実に重要な役割を果たすといえる。

水野 歌子

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